- ●所持許可の申請手続き順序
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- (1)猟銃等講習会
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- 所持許可又は所持許可の更新を申請しようとする者は、まず公安委員会が開催する「猟銃等講習会」を受け、講習修了証明書を入手すること。
有効期限は交付の日から3年である。したがって3年以内に所持許可を取得しないと受け直ししなければならなくなる。 この証明書は、所持許可又は所持許可更新の申請のほか、教習資格認定申請又は技能検定申請の際にも提示することになっている。
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「空気銃(含ガス圧銃)の申請」 |
■ | 空気銃及び圧縮ガス式銃は、(2)の射撃教習又は技能検定を受けずに許可申請ができる。 |
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- (2)射撃教習又は技能検定
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- 射撃教習は猟銃を初めて持ちたい者が、射撃場で、教習用備付け銃を用いて、教習射撃指導員より手ほどきを受ける講習であり、合格すると教習修了証明書が交付される。
技能検定とは、過去に経験のある者など銃の取扱いに自信のある者が、手ほどき講習を受けずに公安委員会の行う技能検定を受ける制度で、合格すると技能検定合格証明書が交付される。
射撃教習を受ける場合はあらかじめ教習資格認定申請をし、公安委員会から「教習資格認定証」の交付を受けるが、この有効期間は3ヶ月である。
技能検定を受ける場合も、「技能検定申請書」を提出すると公安委員会から「技能検定通知書」が交付される。これはいつ技能検定を行うという通知書なので有効期間はないが、両者共有効な間に受講・受検しないと取り直しをしなければならなくなる。
「教習修了証明証」及び「技能検定合格証明書」の有効期間は1年なので、この間に銃の所持に至らなかった場合は取り直しをしなければならなくなる。
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- (3)銃の所持許可申請
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- 猟銃等講習会の「講習修了証明書」と「教習修了証明書」又は「技能検定合格証明書」がそろうと、さらに「写真」、「診断書」(精神病や麻薬中毒者等ではないとの証明)、「戸籍抄本」及び「住民票の写し」、「経歴書」(職歴・住所歴・銃所持歴・犯歴・病歴)、「同居親族書」、「譲渡承諾書」等を準備し、「銃砲所持許可申請書」に添付して申請する。
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- ※別図1)所持許可申請の為の必要書類
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- ※別図2)銃砲所持の方法
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- (4)所持許可証の交付及び確認
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- 許可が決定すると「許可証」が交付される。この許可証を銃の譲渡者に提示して銃を受け取り所持する。この段階では許可証はまだ完全なものではないので使用はできない。
銃を所持してから14日以内に許可を受けた警察署に許可証と共に銃を持参し、公安委員会の確認を受け確認の押印をもらってはじめて許可証は完全なものとなる。
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■ | 譲渡人から受ける「譲渡承諾書」は、申請の段階で譲渡人が未定の場合は、確認の段階で提出すればよい。 |
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- ●許可証の再交付及び書換え
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- 本籍、住所、氏名など記載事項に変更を生じた場合は書換えの申請をしなければならない。また亡失、盗難、滅失した場合は再交付の申請をしなければならない。
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「修理・改造の概念」 |
■ | 「改造」とは構造又は機能に変化を与えることで、小口径を大口径にしたとか、単身銃を2連に変えることは、書換えではなく、別の銃に変わるのだから許可の取り直しをしなければならなくなる。 |
■ | 「修理」とは改造又は機能を現状に復することで、許可銃を自分で修理することは差支えないが、改造は改造できる免許のある有資格者でないとできない。 |
■ | 射撃目的で許可を受け、追って狩猟目的を追加する場合(用途を追加変更)とか銃身の切り詰め又は銃床の切り詰めなど変更の場合は、書換えの申請をする。 |
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- ●所持許可の更新
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- 銃の所持許可は、その人の第3回目の誕生日まで有効である。誕生日を過ぎると失効する。更新は3回目の誕生日の2ヶ月前から15日前までの間の「更新申請期間」内に更新申請をしなければならない。
更新申請の際には、3回目の誕生日に有効である(申請時に有効であるのではない)猟銃等講習会の「講習修了証明書」をもっていないと申請ができないので、あわてることのないよう早目に経験者講習を受けておくこと。
「講習修了証明書」の有効期間は交付の日から3ヶ年である。また、更新申請の際には銃と許可証を提示して申請する。銃は番号を確認し許可証には「更新申請中」と押印して返してくれる。更新時にはその銃の使用実績報告書を提出することになっている。
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- 射撃場で標的射撃をした場合、許可証の猟銃用火薬類等譲受許可証の備考欄に消費確認印を押印してもらうことにより代えられる。
- (社)日本クレー射撃協会の射撃大会参加証明をもって代えられる。
- (社)日本ライフル射撃協会の射撃大会参加証明をもって代えられる。
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「更新申請期間の特例」 |
■ | 災害、病気、海外出張など、その他やむを得ない理由で更新申請期間内に申請することができなかった者は、その理由を明らかにした書類を添えて(更新期間経過後でも有効期間が満了する日の前日までに)更新申請をすることができる。ただし、有効期間内での更新申請でなければならず、満了(失効)したらどのような場合でも更新はできない。従って許可の取り直しをしなければならない。 |
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「やむを得ない事情で失効した人の取り直し許可申請」 |
■ | 海外旅行その他政令で定めるやむを得ない事情により、許可の更新を受けることができなかった者で、その事情がやんだ日から1ヶ月以内に許可の申請をする場合は、射撃教習又は技能検定を受ける必要はない。
上記の者が猟銃等講習会を受ける必要がある場合は、経験者講習会を受けるものとされる。 |
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- ●許可の失効とその後の手続き
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- (1)失効
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- 下記に列挙の場合、許可は失効する。
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- 更新を受けなかった場合
- 許可を受けた日から3ヶ月以内に銃を所持しなかった場合
- 死亡した場合
- 他人に譲渡し、その他自己の意思に基づいて所持しないことにした場合
- 亡失、盗難又は滅失した場合
- 不法な所持又は不正な携帯や運搬を理由に提出を命ぜられた場合、又はこれらが裁判の結果没収された場合
- 日体協等の推薦を受けて許可を受けた者が推薦を取り消された場合
- 変装銃に改造した場合
- 同一性を失わせる程度に改造した場合
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- (2)まっ消
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- 許可が失効した場合は、速やかに許可証を公安委員会に返納しなければならない。ただし許可証に有効な他の銃に関する記載があるときは(1つの許可証に数丁の記載がある)、失効した銃に関する事項のまっ消を受けなければならない。
許可証の返納は許可を受けた本人がするのが原則である。ただし本人死亡の場合は、死亡届出義務者が10日以内に返納しなければならない。
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- (3)失効後の措置
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- 許可が失効した場合、本人又は相続により銃を取得した者は、失効の日から50日以内に
- 自分が許可を受ける
- 譲渡する
- 廃棄する
のいずれかの措置をとらなければならない。
公安委員会は
- 必要があると認める場合
- 50日以内に許可を取るか、譲渡するか、廃棄することをしなかった場合
失効した銃の提出を命じ、これを仮領置する。
銃砲店に譲り渡したことにより失効した場合は、許可証を銃と共に銃砲店へ引き渡すことになっている。しかし、その許可証に失効していない銃の記載がある場合は許可証を提示すれば足りるが、その後速やかに公安委員会に届け出て該当項目のまっ消の手続を済ませなければならない。
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- ●許可の取消
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- 銃刀法や政令規定に基づく処分に違反した場合や、新たに欠格条件が生じた場合は所持許可が取り消される。使用する実包、空包について火取法上の違反(不法所持、無許可消費数量の超過、大量保管など)を犯した場合も同じである。
銃を持ってから暴力団とかかわりをもつようになったり、凶悪な罪を犯すと取り消される。また継続して3年以上許可を受けた用途に供していないと認められる場合には、取り消されることがある(ねむり銃と称している)。取り消された場合は、公安委員会から提出を命じられ、仮領置される。
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「譲渡」 |
■ | 譲り渡す場合、相手が銃砲店の場合はいつでも譲り渡せるが、それ以外は相手が譲り受けようとする銃について、あらかじめ所持許可を受けていなければならない。 |
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- ●所持に関する遵守事項
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- (1)携帯・運搬の制限
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- 銃は「狩猟」「有害鳥獣捕獲」「標的射撃」等の用途のため許可を受けたのであるから、みだりに携帯・運搬・発射することは許されない。
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- (2)安全措置
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- 携帯・運搬する場合は、銃におおいをかぶせるか容器に入れなければならない。
銃に弾を装てんしたまま置いておいてはならない。
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- (3)発射の制限
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- 猟銃等は、法に定められている場合以外の発射を認めていない。発射できるのは次の場合である。
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- 狩猟又は有害鳥獣捕獲の用途に供するために所持許可を受けた者が、鳥獣保護法の規定により銃猟をする場合(鳥獣保護法に違反する発射は、銃刀法の発射制限違反となる)。
- 狩猟、有害鳥獣捕獲又は標的射撃の用途に供するために所持許可を受けた者が、指定射撃場において、その指定射撃場の指定に係る種類の銃砲で射撃をする場合。
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- (4)保管義務
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- 許可に係る銃は自ら保管しなければならない(家族が持ち出せる状態はいけない)。
- 保管設備は、堅固なもので、確実に施錠できる錠を備えている銃専用のものでなければならない。
- 設備ごと簡単に持ち出せないものでなければならない。
- 自動車のトランクは堅固な保管設備とはいえない。
- その銃に適合する実包、空包と共に保管してはならない。
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- 公安委員会は、保管状況について必要な報告を求めることができる。また猟銃については(空気銃を除く)必要があると認めるときは、警察職員に保管の状況を調査するため立入り検査をさせることができる。「必要と認めるとき」とは、定期銃検査に応じない場合、必要な報告を求めても応じない場合、保管の状況をどうしても知らなければならないような場合等である。
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- (5)所持の制限
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- <消音器・着脱弾倉・短い替銃身>
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- 許可銃に取り付けて使用することができるもっぱら減音効果をあげるために製作された消音器、6発以上(散弾銃用は3発以上)充てんできる着脱式弾倉又は48.8cm以下の長さの替銃身を所持してはならない。
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- (6)検査を受ける義務
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- 公安委員会は、許可銃が適正に所持されているかを調査する必要があると認めるときは、警察職員にあらかじめ日時、場所を指定して検査させることができる。いわゆる「銃検」といっているもので、年1回銃と許可証を持参して検査を受ける。
許可証の書換え、再交付、返納義務等を怠っていないかチェックされる。使用実績の報告を求められることがある。
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- (7)事故届
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- 許可銃を亡失し、又は盗み取られた場合においては、直ちにその旨を警察官に届け出なければならない。
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- (8)取締り特別規定
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- 警察官は、携帯・運搬者に異常な挙動があり危害を及ぼすおそれがある場合には銃を提出させ、一時保管することができる。期間は5日間である。
- 許可銃を運搬する場合は、常に許可証を携帯していなければならない。警察官から提示を求められた場合には、これを提示しなければならない。
- 公安委員会は、法違反者等の許可を取り消した場合、この銃を仮領置する。
- 銃携帯者が我が国に上陸しようとする場合、必要があればこの銃を仮領置できる。出国する場合は返還される。
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